大野左紀子著
映画に登場する様々な女性たち。しかし、その女性達の多くは若く、人生も半ばを過ぎた「おばさん」が主人公の映画は意外と少ない。映画の中の彼女らの姿を見つめ、彼女らを通して女性の生き方を見つめるエッセイ集。こういう本で、自分が見たことある映画ばかり登場するというのは嬉しいものだな。ちゃんと「そうそう!」って思いながら読める。自分が映画を見て漠然と思っていたことを、ちゃんと言語化してもらったという感じがした。本著がいわゆる映画批評ではなく、主人公である女性1人1人がどういう人であるのか、彼女がどういう生き方をする人なのかという、寄り添うような視点で書かれているからかもしれない。私は映画を見る時にあまり感情移入はしない(共感するところがなくても面白いものは面白い)方だが、それでも見ていて身につまされることはある。女性として生きるのって面倒くさい(男性は男性で面倒くさいだろうがそれは実体験としてはわからんのでな・・・)が、その面倒くささを読み説くための支えになるのだ。一番思う所多かった章は、「「承認」を捨てる女/『めぐりあう時間たち』」と「病む女/『ピアニスト』」。『ピアニスト』は見た当初はどう受け止めればいいかつかみあぐねたが、今だとそういうことかと胸に迫ってくる。