沢木耕太郎著
カメラが発明されて以降、最も有名な戦場カメラマンと言えるロバート・キャパ。彼の代表作であり、彼を著名にした傑作「崩れ落ちる兵士」は、その見事さ故に長く真贋論争が続いていた。若い頃からキャパの著作『ちょっとピンぼけ』を愛読していた著者は、写真の真相に迫るべく、写真の現場となったスペイン南部を4度に渡って旅する。地道な取材と検証から、著者はある仮説に至る。地道な仮説・検証の繰り返しには、ノンフィクションを書くとはこういうことかと納得。NHKで特集番組も組まれた内容だが、作品自体は決して華やかではない。一つずつ、トライ&エラーの積み重ねで構成され、むしろ地味もいいところだ。しかし、それを一つ一つちゃんとやるというのが、本当に大事なんだろうな。正直、著者の仮説は、真相と断定するには弱い感じもあるのだが、今までわからなかった部分が色々と明らかになったのは確かだろう。著者のキャパに対するまなざしはどこか優しい。キャパが背負った「十字架」が、ノンフィクションに従事するものは多かれ少なかれ背負う類のものではないだろうか。むしろ、そこに十字架があると感じない人は、ノンフィクションをやるべきではないのかも。