専業主婦のレイチェル(キャスリン・ハーン)は友人に誘われ、夫同伴でストリップクラブに出かけた。そこで踊っていたストリッパーのマッケナ(ジュノー・テンプル)に興味をひかれたレイチェルは、彼女が住む場所をなくして困っていると知り、自宅に寝泊まりさせることにする。しかしマッケナは娼婦としても働いていた。監督・脚本はジル・ソロウェイ。
 レイチェルは近所の主婦友達との付き合いにはいまひとつ及び腰で、何かと理由をつけてボランティアやチャリティパーティーからも逃げ出している。かといって家庭にいる方が楽しいというわけでもなく、夫とはセックスレス気味。単調な日々に飽きており、自分とは違う世界の住人に見えるマッケナに飛びついてしまう。レイチェルにとってマッケナは非日常の象徴みたいなものなのだろう。マッケナがストリップや売春をやめて独り立ちできるようにと先走るのも、彼女の人生に自分も参加したい、非日常に乗っかりたいからなのかなと思った。レイチェルがやることは、マッケナが言うところの「ストリップなんてやってちゃだめだ!俺が幸せにする!」と言う男性客と同じようなおせっかいなのだが、レイチェル自身にその自覚はない。
 ただ、マッケナがそんなレイチェルを疎ましがったり見下したりしているかというと、そういうわけでもないところがちょっと面白かった。マッケナはストリッパーとしても娼婦としても「プロ」としてしっかり働いているように見える。でも、レイチェルの主婦友達からなりゆきで小さい女の子たちのシッターを頼まれると、女の子用のアクセサリー類を買い込んだりして結構乗り気だ。だからこそその顛末がいたたまれないのだが。マッケナはマッケナで、レイチェルが属する世界を面白がっているようであもる。ただ、マッケナはレイチェルや主婦友達の生活を(たとえ本心ではバカにしていたとしても)見下していないが、レイチェルは土壇場でマッケナを庇えなかった。えー!そこもうちょっとフォローするやり方が・・・と思っちゃうくらい、本心はどうあれ掌返すような態度をとってしまう。だったら泊めるなよ!という突っ込みももっともなのだ。面白半分で他人の人生の尻馬に乗ろうとした付けが回ったみたい。
 レイチェルは毎日が退屈でしょうがない、夫との関係もなんとかしたいと言う。ただ、はたから見ている分には、彼女の日常はそんなに退屈なようには見えない。何がそんなに物足りないのか、ちょっとぴんとこなかった。主婦友達との付き合いにうんざりしているのはわかるが、だったら付き合わなくてもいいんじゃないかなとか。夫との関係も、ロマンティックさは皆無だが決して仲が悪い感じではないし、むしろ気楽そうでいいなと思うのだが・・・。彼女が日常に何を求めているのかがいまひとつ見えてこない(マンネリでなくセックスしたいという点はわかりやすいのだが)。本人にもよくわかっていないからイライラしているんだろうけど。