マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー著、柳沢由美子訳
全裸の女性死体が閘門で発見された。女性は他殺されたということの他、手がかりは乏しく身元もなかなか判明しない。刑事マルティン・ベックらが奔走する中、アメリカの州警察から連絡が入り、遺体はロセアンナ・マッグロー、アメリカの警察は行方不明になった彼女を捜索していたことが判明する。北欧警察小説の金字塔とも言うべきマルティン・ベックシリーズ1作目。マルティン・ベックシリーズと言えば『笑う警官』が有名(というか日本での北欧ミステリブーム到来前は、長らく『笑う警官』しか入手できなかったんじゃなかったっけ。北欧ミステリブームありがとう・・・)だで、1作目である本作はあんまり出来栄えが・・・なんて話も聞いたことがあったが、なんだ面白いじゃないですか!確かに、華やかなトリックや謎解きを期待すると、捜査がなかなか進まずまどろっこしいかもしれないが、本作の魅力はそのまどろっこさだ。手がかりらしきものを一つずつ確認していくしかないという捜査の地道さこそ、警察小説の醍醐味だろう。そしてマルティン・ベックが終始一貫(心身ともに)調子悪そうなところも読み所。調子悪くても事件には真摯に向き合うプロの姿勢がいい(さすがに同僚からも休めって言われるのだが)。