ピエール・ルメートル著、平岡敦訳
第一次大戦下のフランス。前線に送られた青年アルベールは、上官のある策略に気付いてしまった為に殺された・・・かと思った所、戦友エドゥアールに助けられた。しかし今度はエドゥアールが重傷を負い、アルベールはつきっきりで彼を看病する。そして戦後。アルベールとエドゥアールは無事帰還するが、世間は帰還兵たちには冷たかった。そんな時、エドゥアールはある計画を思いつく。日本でも『その女アレックス』が大ヒットしたと思ったら、とうとう本作でゴンクール賞受賞!すごいなー。強運もあるんだろうけど、確かに大変面白かった。現代を舞台としたミステリから一転して、第一次世界大戦後が舞台の歴史小説だが、視点の切り替え、作中時間の省略のキレがよく、そこそこ長いが一気に読んだ。えっこうなるの?!って展開が次々に訪れ、どんどん引き込まれる。そしてやはり、登場人物の造形がいい。特にアルベールの気の弱さ、優柔不断さはなかなかここまで書かないぞ!ってくらいで笑ってしまう。世間知らずでどこか浮世離れしているエドゥアールと対称的。性格も育ちも共通項がなく、戦場を共にしたという特殊な事情がなければ、この2人が友情を築くことはなかっただろうというのは皮肉でもある。戦争は彼らには不運、またある人物には幸運をもたらす。そこからどう転がるかというところが見ものだ。また、ある役人が見せる意地には喝采したくなった。一見全く魅力的ではない人物の中にある倫理や気高さを、ここぞという所で見せるところに作家の技(あざとくもあるが)がある。