E・R・ブラウン著、真崎義博訳
17歳のテイトはカナダの国境近くのカフェでアルバイトをしている。14歳で大学入学を果たし天才児ともてはやされたが、諸般の事情で退学し、今はガンの闘病中の母親と妹を養っている。ある日、常連客のランドルから仕事の手伝いを頼まれる。怪しみつつも破格の給料にひかれて手伝うテイトだが、ランドルはマリワナの製造・流通業者だった。テイトもその仕組みに徐々に取り込まれていく。テイトにはお金も学歴も腕っぷしも身分も、運転免許証すらなく、頼りになるのは自分の知恵と、一見童顔なので相手が油断するという特徴のみ。テイトは頭はいいのだが、あくまで17歳の少年(しかもどちらかというと世間知らずな)としての聡明さなので、様々な所で危なっかしい。そこをなんとか切り抜けていくという成長物語でもあるのだが、扱っているブツがブツなので、どういう顛末になるかは何となく察しが付く。察しがついちゃうくらいテイトが危なっかしいということなんだけど・・・。聡明なはずの彼がなぜ引き返せなくなるかというと、お金の問題、母親が保護者としての体を成していないという問題があるからだ。親が親をそれなりにやってくれないと子供はほんと困るよなぁ・・・。そしてランドルがテイトの能力を評価したこと、ひとかどの人物として扱ったことが、テイトに一線を越えさせてしまう(もちろんランドルはそのつもりで褒めているし、テイトもそれはわかっているのだが)というのがどこか痛ましい。テイトの評価されたい、何者かでありたいという渇望の裏には、子供の頃から大事な存在としてちゃんと扱われなかったのではという気配が見え隠れしてしまうのだ。