アン・クリーヴス著、玉木亨訳
 シェトランド島の湾岸で、小船に乗せられた死体を地方検察官ローナが発見した。死体はシェトランド出身の若い記者のものだった。本土から派遣された女性警部ウィローは地元警察署のサンディ刑事と調査を開始、病気療養中だったペレス警部も調査に加わる。殺された記者は地元では好かれておらず、加えて彼が島のエネルギー産業問題に興味を示していたことがわかってくる。ペレス警部を主人公とした“シェトランド四重奏”に続く続編シリーズの1作目だそうだ。“シェトランド四重奏”は1作目の『大鴉の啼く冬』しか読んでいない、というのも、『大鴉~』は文章や話の展開がちょっとかったるかったんですよね・・・。しかし間3作飛ばして5作目の本作は面白い!目くらましをふんだんに用意しており、謎解きミステリとしては配分バランスが妙なのだが、その分ラストまで引っ張る。1作目よりも格段にリーダビリティが高いが、ネタがいいというよりも著者が作家として熟練してきたんだろうなぁ。ペレスが前作で見舞われた悲劇に言及されているので、本来は順を追って読んだ方がいいのだろうが、本作1作だけでも十分面白かった。警察官3人の立場や性格の違い、そこから生じる人間関係の描き方が丁寧。特に決して刑事に向いているわけではないと自覚している(警察の仕事が好きなわけでもない)し上司であるペレスからもそう思われているサンディが、不向きなりに少しずつ頑張る姿は応援したくなった。また、死体の第一発見者として事件に関わるローナは、気位が高いと地元では好かれていないのだが、私はこういう人それほど嫌いではない。周囲と交わらない彼女の態度は、気安く付き合うのは難しそうだけど、ちょっと島の中で嫌われすぎじゃないかな。こういうタイプの人が倦厭される村社会って住みにくいそう・・・。