特集上映「映画史上の名作13」にて鑑賞。ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督、1947年の作品。未亡人のルーシー(ジーン・ティアニー)は小さな娘と家政婦と共に、海辺の家を借り越してきた。その家には元の持ち主であるグレッグ船長(レックス・ハリソン)が憑りついていた。ルーシーは彼の横暴な言動に憤慨するが、徐々に親しくなっていく。
 幽霊は出てくるが怖くはなく、少女漫画のようなロマンチックさ。主人公であるルーシーがめそめそしておらず好ましい。義母や義姉にも毅然として立ち向かうし、グレッグに対しても驚き怯えはするものの、軽妙な切り替えしと気の強さを見せる。ロマンスではあるが、全般的にユーモラスさがあって楽しかった。
 グレッグとルーシーは惹かれあうが、グレッグがルーシーを守るというのではなく、彼女が(精神的にも経済的にも)自立できるように支え導く。対等というにはちょっと「教える」感がありすぎかなという気がしたが、船長の自伝をルーシーに口述筆記させても「文章は君の中から出てきたものだ」と彼女に自らの才能に気付かせ励ます様にはなかなかぐっとくる(ずいぶん中途半端な形での励ましだなとは思ったが)。2人がお互いずけずけとものを言い合うところがいい。
 それだけに、ルーシーがいわゆる「女の弱さ」とか言われがちなふらつき方を見せてしまう後半は残念だった。当時としてはこういう流れの方が自然だったのかもしれないけど、この人唐突に出てきたな!って思っちゃったので。