ケイト・アトキンソン著、青木純子訳
飼い猫がだんだん巨大化してソファで一緒にTVを見ていたり、ドッペルゲンガーが悪さをしたり、幽霊となって家族のもとに留まったり、不老の秘密に触れたり。奇妙でおかしな短編集。連作というほどではないが、各篇の登場人物同士にちょっとづつ関係があるのも楽しい。あの人はあの後こうなってたのか!とか、こんな一面も持っていたのか!とにやりとさせられる。アトキンソンは『博物館の裏庭で』の著者だったのね。『博物館~』は長編だったけど、この作家は短編の方が抜群にキレがいいんじゃないかと思う。短編それぞれの中で色々な人生が描かれるが、どんなへんてこだったり救いのなさそうな局面になっても、「世界が終るわけではないし」と思わせるユーモラスさとどこか達観したところがある。オープニングとエンディングに置かれた「シャーリーンとトゥルーディーのお買い物」「プレジャーランド」は、戦争や疫病が蔓延しつつある世界で女子2人がぶらぶらするだけの話なのだが、最後はやはり「世界が終わるわけではないし」となる。たとえ自分たちがいなくなっても世界はそこにあり続ける。そのことにほっとする人もいるのではないだろうか。