カレン・ラッセル著、松田青子訳
狼少女たちを人間らしく強制する寮生活を描く表題作の他、幽霊に憑依されやすい姉とワニと暮らす少女、睡眠矯正キャンプに来た子供たち、ミノタウロスの父親と西部を目指す少年、幽霊の見えるゴーグルで死んだ妹を探す兄弟など、奇妙でおかしい、しかしどこか怖い味わいの短編集。殆どの作品は子供たちが主人公だ。彼らは幽霊が見えたり、親が人外だったりと一風変わった設定の持ち主だが、彼ら自身は無力な子供で特に何かができるわけでもない。彼らの感じる不安や恐怖は、まさに子供としての、所属する世界も自身の力も限定されているからこそのものだ。どこにいても自分の居場所だと感じられない様や、家族との間に生じる違和感が描かれた作品が目立つ。本作に登場する子供たちの殆どが、家族を既に失っている、または失いつつあるのだ。彼らはその状況の中でもがくばかりで、どこにも出口がないように見える。大人になればまた違った景色が見えるのかもしれないが、子供の時は「今」しか感じられないんだよなとほろ苦い気分になった。特に、「貝殻の街」で少女が感じる(物理的・精神的な)出口のなさはやりきれない。絶望的な状況を描いていてもなんとなくおかしく笑ってしまうような作風だが