1984年、サッチャー政権下のイギリスでは、炭鉱労働者によるストライキが勃発していた。自らの権利の為に戦う相手は同じだとLGSM(ストライキ中の炭鉱労働者をサポートするゲイとレズビアンのグループ)を結成したマーク(ベン・シュネッツァー)らは募金活動を始めるが、ゲイであることを理由に炭鉱組合から無視されてしまう。唯一、勘違いからとは言え受け入れてくれたウェールズの炭鉱町に向かい、労働者たちとの協力を模索していく。監督はマシュー・ウォーカス。
 ぱっとしない、無難な邦題だなと思っていたが、ラストでなるほどそこをフォーカスしたのか!と納得した。原題はストレートに『PRIDE』で、これはこれで作品のテーマを端的に表しているのだが、邦題も悪くない。「ようこそ」という言葉が色々な立ち位置の人たちに開かれている感じがするのだ。
 LGSMのメンバーも、炭鉱組合も一枚岩ではない。炭鉱町は何しろ保守的な田舎、しかも炭鉱という場所柄、かなりマッチョな気質の人が多く、ゲイに対する偏見が強い。彼らをまず受け入れるのは、リーダーであるジョー(ジョージ・マッケイ)と、何より女性たちだ。面子に拘らず実際的であることと、女性もまた炭鉱町では不自由(というよりも決まった役割が要求されておりそれ以外の道がない)な存在になりがちだということが、社会の中でのフェアさを要求するゲイたちと響きあうものがあったのだろう。女子会よろしく、ロンドンに泊りに行って大はしゃぎする姿がパワフルかつかわいい。
 ただ炭鉱町の女性といってもこれもまた一枚岩ではなく、ゲイの存在を許せない人もいるというふうに、同じグループの中の違いに言及していく。一方でLGSMのメンバーも、男性も女性もいるのだが、女性側が女性部を作りたいといっても取り合わなかったり、女性ならではの不安や危機感みたいなものには男性はぴんとこないという描写がある。同じ集団に所属していると言っても、その全員が一様であるわけではなく、当然軋轢もある。個々の違いがなくなるわけではないが、時に摺合せ時に許容し、仲間になっていく。
 元気のいい作品なのだがどこか哀愁が漂う。史実が元になっているので、映画を見る側は労働組合が負けていくことも、HIVに脅かされるようになることも知っているからだろう。しかし、それでもやはり本作はポジティブな気分を残す。それは、登場する人たち個々の人生が描かれていて、そこに人間関係があるという手応えが感じられるからだと思う。ストライキの結末がどうあれ、そこには友情が芽生えたり、人生が変わったりというドラマがあるのだ。何より、本気で政治を動かそう、世界を変えようとした(そして実際変えた)人たちの姿が清々しい。