ピエール・ルメートル著、吉田恒雄訳
子守りの仕事先でソフィーが目覚めると、男の子の死体が転がっていた。凶器は彼女のスニーカーの靴ひも。自分はとうとう人を殺してしまったのか。逃げ出し、身をひそめていたソフィーは、新しい身分を手に入れる為にある計画に踏み切る。『その女アレックス』が大ヒットした著者の、2009年のノンシリーズ作品。ソフィーは果たして殺人犯なのか、くるっているのか。途中でがらりと様相を変える展開は『~アレックス』に通じるものがある。そして「逆襲する女」が登場するところも。前半、これって不自然だけどどういうこと?と気になって読み進めていくうちに、一気に引き込まれる。あとはまさに一気読み。悪意には悪意で、卑怯には卑怯でという苛烈な反撃には、こういう方法でしか対抗できないような悪意もあるという、本作の世界観みたいなものを感じた。そこで好みが分かれるかもしれないが、ある種の悪漢小説と言えるかもしれない。ある人がある体験を経て悪漢へと変貌するのは爽快なのか痛ましいのか。