新婚旅行として、リゾート地であるカリブ海の島にやってきたエバ(ジーナ・カラーノ)とデレク(カム・ジガンデイ)。しかし、デレクが大怪我を負い、救急車で病院に搬送されたはずが、そのまま行方不明になってしまう。デレクが資産家の息子だった為、当初は金銭目的の誘拐かと思われたが、身代金の要求はない。エバは必死にデレクの行方を探すが、島のマフィアたちが関わっているらしいと気づく。監督はジョン・ストックウェル。
 スティーブン・ソダーバーグ監督『エージェント・マロリー』で主演デビューした、格闘家ジーナ・カラーノの主演作。本作では特異な育ち方をしたせいで滅法強い女性という役どころだ。『エージェント・マロリー』当時に比べると大分腰回りにボリュームが出て、一見あーこういう中年女性いそうだなって雰囲気が出てきたカラーノだが、いざ動き出すとやはり只者ではないオーラがぶわっと出てくる。『エージェント・マロリー』の方がアクションは軽やか・鮮やかだが、本作のアクションは、長年辛酸なめて生きてきた、たたき上げの武闘派といった雰囲気で、これはこれで悪くない。相手に攻撃する時にアクション映画でありがちなワンクッションがなくて、ノーリアクションでいきなり打撃に転じる。実用性が高いアクションとでも言えばいいのか・・・。武器を持っていると案外へっぴり腰なのに素手だとやたら強いというところも楽しかった。
 一応、夫の失踪の謎を追うというストーリーはあるのだが、謎の真相が、シンプルなものを無理にややこしくしているようなものなので、悪役に対してもおいおい!と突っ込みたくなる。気持ちはわかるが普通にお金で解決すればよかったんじゃないかな(あ、でもデレクはお金には困ってない設定だからあんまり強い説得材料にはならないのか・・・)!島全体が「俺ルール」すぎて、こんな観光地は嫌だ!って感じなんだが、ストーリーの精緻さが見所になっているわけでもないので、突っ込みつつ楽しめばいいと思う。
 ちょっと面白いなと思ったのは、エバとデレクはどうやら、アルコールか薬物の依存症の互助会で知り合ったらしいというところ。だからデレクの家族はエバとの結婚に大反対なのだ。元々脛に傷持つ者同士が惹かれあい支えあったということらしいので、このへんのエピソード出してくるのかなと思ったら全然出てくて拍子抜けではあるが、逆にそういう湿っぽいことはしないですよ!という潔さでもあったかなと。