沢木耕太郎著
朝日新聞で長年連載されている映画エッセイ90篇をまとめたもの。『銀の街』からとセットになっているが、本作の収録作の方が1999年~2007年と、古いものになる。こちらに収録されたものの一部は、実は著者の他の著作に収録されている(著者のあとがきにその旨についてのお詫びの言葉があった)。私は既に読んでいるはずなのだが、再度読んでも損した気にならない、というか全て初めて読むかのように読んだ。大分記憶が薄れているな・・・。ともあれ、あっさりとしていて後口のいいエッセイばかりなので、ふらっと立ち寄って一杯お茶を飲む、みたいな感覚で楽しめた。珍しく否定的な評を寄せている『ロスト・イン・トランスレーション』に関して、その批評の是非というよりも、著者の倫理観、人となりが垣間見えてなるほどと興味深かった(私は、映画を見た時にはそんなに目くじら立てることじゃないかなと思った)。著者のノンフィクションに長らく従事してきた人としての見方なのかなとも思った。多分、そこで見方を止めちゃったら思考停止みたいなものでしょってことなんだろう。また、クリント・イーストウッド監督『ミスティック・リバー』に関して、イーストウッドの傑作でこれ以上のものは(年齢考えても)難しいのでは、なんて言及していたけど、イーストウッドは今に至るまでハイペースで監督作更新(しかも高クオリティで)しているわけで、恐ろしいと思った。確かに『ミスティック・リバー』の後でこんなにぼんぼん生産してくると思わないよな。