月村了衛著
水楢中学校野外活動部は、恒例のキャンプ合宿に出かけた。しかし合宿1日目、キャンプ場は武装した半グレ集団・関帝連合に占拠されキャンプ場の客は皆殺しにされた。彼らの狙いは40億円。振り込め詐欺で集めた金を裏切り者が持ち逃げし、キャンプ場のどこかに隠したというのだ。関帝連合に捕えられた野外活動部員たちだが、何者かが関帝連合に反逆を始める。冒頭、これは何か怖いことが起きるぞ・・・という前フリたっぷりの後、ノンストップで一気に駆け抜けるエンターテイメントど直球の小説。著者の小説よりはむしろ、アニメ脚本のお仕事の雰囲気でベテラン仕事の安定感を感じた。中学生たち個々のキャラクターにしろ教師にしろ「何者か」にしろ、ある種の定番ではあるが、その枠の中でキャラがくっきりと立ち上がってくる。特にある人とある人に関しては、「待ってましたー!」と喝采したくなるような見得の切り方だ。中学生たちが知恵と勇気を振り絞り、必死でサバイブしようとする様にもぐっときた。その年齢として等身大、かつ最大限の知恵と勇気なところがいい。ところで、立派に見えた先生って最初から立派に先生というわけじゃなくて、先生をやろうとしながら先生になってくれてたんだなぁと、当たり前と言えば当たり前のことにしみじみした。