2006年に設立した、大阪市立南住吉大空小学校。発達障害を抱えた子、気持ちをコントロールできない子など、いわゆる特別支援の対象となる児童も他の児童と同じ学級、同じ教室で学ぶことを指針としている。この大空小学校の取り組みを紹介したテレビドキュメンタリーを、劇場版として再編集した作品。監督は真鍋俊永。
 テレビ版は未見なのだが、劇場版ではナレーションやテロップは少な目で、「泣かせる」演出も極力排した、ストイックな作りになっている。教育の現場の雰囲気や自動への具体的な対応の様子が伝わってきて、とても面白かった。支援が必要な児童には、担任の他にほぼ専属の職員がつく。また、登下校路の途中には、ボランティア(おそらく児童の保護者や地域の住民)が待機している。担任制度はあるが、他の学級の児童のことも同学年の教員同士で把握し、何かあったらすぐに対応できるようにしている。細かいところまでよく目配りがされているし、学校の指針がブレない。これは、校長の意思の強さと努力によって成立しているところが大きいのかなと思った。もちろん、個々の教員の努力は相当なものだし、皆有能なのだろうと思う。ただ、組織である以上、方針がしっかり定まっていて、この学校ではどういう教育をやるのか、そのためにどういうことが必要なのか、どういう助けがいるのか、ということが教員や保護者にも納得されていないと、維持していくのは難しいはずだ。そこがちゃんと成立しているからこその、きめこまいケアなのだろう。校長は何度も、「学校が、児童にとって安心な場所でないとならない」
 多分、当初は特別支援を必要としていない児童の父兄や、近隣住民からの反発や異論もあったんじゃないかな・・・。運動会の後、保護者の感想を読んだ校長が「自分の子供のことだけを書く保護者が減った」と言って喜ぶシーンがある。色々な子と一緒に学校をやっていくんだという意識が保護者側に定着したということなのだろう。自分の子だけでも大変なのによその子もか・・・と思わなくもないが、父兄から地域から巻き込んでいかないと、学校全体で支援の必要な児童をサポートする体制はとれないということなんだろうなぁ。支援が必要ない児童たちはどう思っているのかちょっと気になったが、授業中の様子などを見ていると、急に暴れたり教室から飛び出したりする子がいても、わりと淡々と対応しているので、少なくとも人間の幅は広くなるような気がした。
 また、教師(というか主に校長)の児童に対する当たりが案外厳しい。児童が学校での生活に適応できるようになるというのを前提に、叱るべきときには叱る(褒めるところはすごく褒める)という態度がはっきりとしていた。子供の伸びしろを信じているというか、こういうやり方で伝えればこの子にはわかる、というやり方を見極めつつ指導している。実際に子供たちが変化していく姿には、教師ならずとも心動かされる。