ヘレン・マクロイ著、好野理恵他訳
輝く謎の飛行物体を見た人が次々と死亡する事件が起きた。精神科医ウィリング博士が謎に挑む表題作を始め、幻想小説やSFまで収録した作品集。本格ミステリの実力派として、近年日本でも再販や新訳が進んだ著者が自ら選んだ傑作選に、中編「人生はいつも残酷」を加えたものだそうだ。収録作のうち「東洋趣味(シノワズリ)」は読んだことあったのだが、これはやっぱり名作だよなぁ。ミステリとしての構成もだけど、人の業とある時代のはかなさが重なり合っている感じが読ませる。「ところかわれば」「Q通り十番地」のようなSFも書いていたとは意外だったが、どちらもシニカル。特に「ところかわれば」は、現代の視点で読むとまあそうだろうなって話なんだけど、著者としては色々思うところあったんだろうなぁ。しかしミステリファンとしてはやはり本格ミステリ度の高いものが嬉しい。長編のプロトタイプである「鏡もて見るごとく」は、トリック自体は今となっては古臭くベタなのだが、そのトリックに気づくきっかけの設定の仕方が、これだよ!って感じで嬉しくなる。一番のお勧めは中編の「人生はいつも残酷」。