幼い頃からガンを患い、酸素ボンベが手放せないヘイゼル(サイリーン・ウッドリー)は、嫌々ながら若いガン患者の為の互助会に出席する。そこで、骨肉腫の為片足を切断し病を克服したガス(オーガスタ・ウォーターズ)と出会う。ガスはヘイゼルに恋をし、ヘイゼルも彼に惹かれていくが、自分の病気のことで彼を傷つけることを恐れる。原作は全米ベストセラー、ジョン・グリーン『さよならを待つふたりのために』。監督はジョシュ・ブーン。脚本を『(500)日のサマー』のスコット・ノイスター&マイケル・H・ウェバーが担当したことでも話題になった。
 難病カップルの感動ラブストーリーという、手垢のつきまくった題材をいかにフレッシュに月並みでなく見せるか、というところで色々とよく考えて作ってあるなという印象。オランダへの旅行エピソードなどは少々都合が良すぎる展開にも思ったが、瑞々しく、10代が見るにもぴったりな良作だと思う。病身の肉体的な苦しさの表現、精神的な苦しさの表現がきちんとされているのも、ちゃんとリサーチして作っているなという感じ。ちゃんと「今」の物語にしようと配慮されていると思う(私がもう10代ではないからそう思うのかもしれないけど。リアル10代が見たらどんな感想を持つのか知りたくなった)。難病ネタで泣きを強要するのではなく、そういう要素はあるが、まずは若者のラブストーリーであり、青春物語(ゆえに苦さも含む)として立っているところがいい。
 ヘイゼルにしろガスにしろ、多少ティーンエイジャー的な気の張り方やひねくれた部分はあるが、基本的に「いい子」だ。特にヘイゼルの両親への気の遣いかたは、痛ましくもある。出たくない互助会に出るのも母親を安心させる為だし、自分が死んだら母親が抜け殻のようになってしまうのではと心配するのだ。賢く、優しく、思いやりのある子供は、どんな環境であれ結構しんどいのかもしれないなと思った。
 ヘイゼルもガスも、病気という理不尽さから逃れることは出来ない。しかしそれ込みで彼らの青春であり、それは輝いているのだという部分を、しっかり描こうとした作品だと思う。