石井桃子著
児童文学翻訳の第一人者として数々の名作を残した著者の随筆集。本作では、身の回りのことや生活全般、時代背景が感じられるものなどがまとめられている。ごくごく短い、コラムのようなものも多いが、どれも率直であっさりとしている。児童文学についてほどは饒舌ではないが、専門分野ではないからというよりも、自分自身のことを語るのが苦手だったのではないかな。ものによっては、お題を渡されて書いたものなのか、やりにくそうだなぁという印象のものがあったり、意外と通り一遍のことしか書いてなかったりするものもある(笑)。著者は自分のことを頭の動きがのろい(著者の残した仕事の量と質を考えると絶対にそんなことないのだが)と言うが、色々と深く考え躊躇してしまうから、文章としてなかなか上がってこないんだろうなぁ。そんな中、働くこと、特に女性が働くこと、当時の日本での女性の生活に言及する部分ではするどい、時に手厳しい物言いが見られた。多分、著者自身が働く女性として痛感してきたことなんだろうなと。