夫と共同で会社を経営し、幼い娘もいるルージエ。娘の同級生の母親・サンチーと喫茶店にいたところ、夫が若い女性とホテルに入るところを目撃する。監督はロウ・イエ。
 最初に中国会社のロゴが出るのも何か新鮮だった(ロウ・イエ監督作品は中国では上映許可が下りず、出資も海外からのことが多いので)。本作は無事中国でも公開されたそうで、こういう方向性、このくらいのラインなら許可が下りるんだなという物差し的な意味合いでも面白かった。
 冒頭、いきなり交通事故が起きる。被害者女性に何が起きたのかという謎と、「二重生活」の謎とがリンクしていき、ミステリ・サスペンス仕立てになっている。ロウ・イエ監督作品の中ではかなり娯楽性の高い作品ではないかと思う。冒頭からいったん過去に飛ぶ構成だが、因果関係がどんどんわかってくるので気持ちが先へと引っ張られる。「二重生活」の背景に一人っ子政策の顛末をはじめとした現代中国の問題が見え隠れするあたりは、監督らしい。
 ルーシエが夫の秘密に気付き、どんどん追求していく様には、鬼気迫るものがあった。元々頭が良くて行動力のある人らしく(だから会社の共同経営もやってたんだろう)、裏取りの為にやることがいちいち機転がきいている、かつ的確で唸った。やるならこのくらいやってくれないとな!と爽快でもある。ただ、そんな聡明な人でも、嫉妬や怒りに駆り立てられずにはいられず、冷静さを失っていく。そういうものだろうなとは思うけど、痛々しいしひやひやする(危なっかしいのではなく、攻撃力が高くなりすぎそうで)。
 一方、夫の別宅に行ったルージエは、そこが学生時代の自分たち(ルージエと夫)が同棲していた部屋にそっくりだと漏らす。一緒に成長してきたと思ったのに結局そこか!という脱力感もあるのだろう。また、夫は愛人に対して時に苛立ち暴力を振るうが、ルージエに暴力を振るうシーンはないし、彼女と争うシーンもない。妻を大切にしているというよりも、ルージエは夫と張合える程度の経済力や知識を持っているからだろう。彼は、自分が強く出られる、強く影響できる相手でないとリラックスできないのかもしれないと思わせるシーンだった。なんかこういうシチュエーション見るとがっかりするわ・・・