40歳になったグザヴィエ(ロマン・デュリス)は妻・ウェンディ(ケリー・ライリー)と別居。ウェンディは2人の子供を連れて新しいパートナーのいるニューヨークへ引っ越してしまった。子供に会いたい一心で渡米したグザヴィエは、友人のイザベル(セシル・ドゥ・フランス)宅に居候し新居を探す。グザヴィエの人生を描く『スパニッシュ・アパートメント』(2001)、『ロシアン・ドールズ』(2005)に続くシリーズ3作目にして完結作。監督はセドリック・クラピッシュ。『ロアシアン~』は未見なのだが問題なく楽しめた。
『スパニッシュ~』ではまだ青年だったグザヴィエも、いまやおっさんである。とは言え、「四十にして惑わず」の域には程遠く、フラフラしっぱなし。私はグザヴィエとほぼ同年代なので耳が痛いというか目が痛いというか・・・。10代20代のころには、30や40は大層大人なんだろうと思っていたがとんでもない。全てがおぼつかないままだ。
ただ、私は文字通り若者が主人公な『スパニッシュ~』よりも本作の方が好きだ。グザヴィエは確かにフラフラしており一見ダメ男のようだが、実際は子供の為になりふり構わず渡米するし、現地で部屋も仕事も実際に調達してくる。
部屋も仕事も知人・友人のつてを辿ってのものだが、辿れるつてがあるというところにいわゆる人間力みたいなもの感じる(基本的に友人の頼みは断らないし、気がいいんだよな)し、『スパニッシュ~』の頃より柔軟性が高く、打たれ強くなっているような印象を受けた。意外と生活環境や仕事に対する不平不満を言わないのだ。彼を見ていると、年齢重ねて精神的に自由になるタイプの人も結構いるんじゃないかなと思える。変化をあんまり恐れていないのだ(見習いたい・・・)。40歳になってから何か初めてもいいじゃないか、と若干気が楽になってくる。
グザヴィエの部屋が、だんだん人の住んでいる部屋っぽくなっていく過程が、具体的に言及されるわけではない(子供と一緒に壁を塗りなおしているシーンくらい)が、楽しい。人が住んでいる、しかも子供のいる人が住んでいるということがちゃんとわかる見た目になってくるのだ。時間の経過の見せ方というと、セックスシーンの省略の仕方の思い切りの良さには笑ってしまった。これは清々しい。