アイドルグループ乃木坂46の秋元真夏、生田絵梨花、橋本奈々未はオーディションで選ばれ、映画に出演することになった。3人が演じるのは超能力研究部の高校生。しかし監督はアイドルの枠を出ない3人の演技に納得いかず、リテイクを繰り返す。監督は山下敦弘。
 公式サイトのプロダクションノートによれば、抽象的なセットでリハーサルと称して3人に演技させたものを撮影。その後、実際に映画を撮るというていでメイキング風映像も交えて撮影。同時に3人へのインタビュー等を撮影という方法を撮り、3人には自分たちが自分自身として出演するということは、途中まで伝えていなかったそうだ。ただ、ドキュメンタリー風の映像を見ても、スタッフも本人たちも、「言わされている」感が強くて、モキュメンタリーにしか見えない(途中からは明確にモキュメンタリーとして撮っているのだが)。もっといわゆる演技が上手くて自然体風の振る舞いとのメリハリのある出演者なら違うのかもしれないが、そういう出演者を使って本作のような形式のものを撮っても、大して面白くも挑戦的でもないだろう。それほど演技に長けた出演者ではないからこそ、作中作とモキュメンタリー風部分とのシームレス感が出るのだと思う。
 とは言え、本作が多くの観客にとって面白いかというと、微妙なところだろう。本作は主演の3人が乃木坂のメンバーであり、グループ内でどういう立ち位置でどういうキャラ設定なのかということを観客が知っている、アイドルファンであるという前提でつくられていると思う。だからこそ彼女らへのいじりが執拗なのだろうし、アイドルという制度への皮肉的な演出も入れられているのだろ。それをアイドルに興味がない、彼女らについて知識がない人が見ても、だから何?という気分になるのではないか。映画の構造そのものが、アイドルが主演する、ということに依っているので、アイドル自体に興味がないとちょっと辛いかなという気がした。