南仏の名門レストラン、ル・ソール・プリョルールを仕切るマダム・マロリー(ヘレン・ミレン)は、伝統を重んじ味に妥協しないことで、町でも有名だった。ある日、インド人一家がル・ソール・プリョルールの向いにインド料理レストラン、メゾン・ムンバイを開店。マダム・マロリーと、インド人一家の家長であるメゾン・ムンバイのオーナー(オム・プリ)とは激しく反目する。しかし、メゾン・ムンバイのシェフでありオーナーの二男のハッサン(マニシュ・ダヤル)の天才的な料理のセンスが、2者の関係に変化をもたらす。監督はラッセ・ハルストレム。
 これディズニー映画になるのね。誰が見ても安心な手堅さと良心的設計、同時に物足りない大味さは、そのあたりが一因なのかもしれない。フランスが舞台の話だが、主なセリフは英語。フランス語のセリフには日本語字幕はつかないので、フランス語がわからないインド人一家の視点に近いということになる。
 ハッサンのパパは、自分の味覚と店には誇りを持っているが、もし自分にこんな父親がいたら、イライラするし面倒くさいしで喧嘩が絶えないと思う。ハッサンたちも、いわゆるスマートではない父親の振る舞いを恥ずかしがるが、何しろ父親だし、店に対する誇りはお互いに持っているものだしで、耐えている。父親が値切る姿が嫌というのは、ありそうな話だ。対するマダム・マロリーも相当頑固で、2つのレストランの張り合いはともするとオーナー同士の大人げない張り合いになってくる。
 ただ、これが本作のいいところだが、ハッサンのパパにしろマダム・マロリーにしろ、自分の専門分野である料理に関しては、それがインドのスパイスを使っていようが伝統的なフランス料理の流れをくんだものであろうが、「いい」ものは「いい」と即座に認めるところだ。味覚を鍛えたプロとして敬意が双方に生まれてくる、料理があゆみよりのきっかけになるというのは、わかりやすいし、実際そうなんだろうなと思える。
 本作はアメリカ映画なのだが、舞台はフランス。フランスに対するグルメの国というイメージはいまだに強いのだろうか・・・。本作、異文化交流要素があると同時に、異文化=移民排斥についても言及している。フランスも移民は多いし、アメリカはそもそも移民の国だ。おそらくずっとなくならない問題に、かなりライトではあるが言及されており、時代の色を感じさせる。