アイスランドの海沿いの村。ダンディな独身男は未亡人とひかれあっているが、とあるハプニングできまずくなってしまう。酒好きの男はウォッカ欲しさにロシアの漁船目指して海へ飛び込んだ。乗馬クラブのオーナーは、土地を柵で仕切る農夫がどうしても許せない。人間たちと馬たちが織りなす群像劇。監督はベネディクト・エルリングソン。
 この邦題、『神々と人間たち』のパロディなのだろうが、どちらかというと「馬たちと人間たち」みたいな雰囲気。馬と人間、どちらかがどちらかより優位だったり片方に従属しているのではなくて、別箇の存在として、並列して存在している雰囲気なのだ。確かに馬は家畜なので人間に従属しているということになるのだが、そこに注がれるまなざしが、どちらかに肩入れするわけでも感情移入するわけでもなく、至ってクール。馬と人間は全く別の存在で、馬には馬の、人には人の事情がある、しかし等価だ、といったようなスタンスを感じた。
 ちょっと泥臭い民話のような、土着のユーモア的なものがある。セックスも死もシリアス一辺倒ではなく、冷静に考えると悲惨なことが起きているのに笑ってしまう。葬式で笑いたくなる衝動と同じような感覚に襲われた(葬式と言えば、本作で2回葬式が執り行われるのだが神父の説教が死因を考えるとギャグみたいだった)。人も馬も、営みが野太くしぶとい。馬は動物だから本能に従って生きているわけだが、人間も結構欲望に忠実だ。欲にかられてえらい目にあったり、最悪命を落としたりするが、それに対する反省が特になさそうなところがいい(笑)。さまざまなことがあっけらかんとしているのだ。
 何よりも、アイスランドの強烈な風景に魅力があった。海のすぐそばに山がそびえたっているような、独特の地形だ。荒地や草原がずっとひろがっているというのもいい。この風景の中だから、こういう物語になるんだろうなというような、風土に説得されるような作品だった。