幼い頃にアメリカに渡ったものの母親に捨てられ、中国系マフィアの殺し屋として育ったゴン(チャン・ドンゴン)は、ある仕事のミスから少女を巻き添えにしてしまう。マフィアは少女の母・モギョン(キム・ミニ)を新たな標的として指令を下し、ゴンは祖国である韓国へと渡った。しかし深く悲しむモギョンを殺すことをためらってしまう。監督はイ・ジョンボム。
 マンション強襲以降の銃撃・肉弾戦の乱れ撃ちはさすがに見応えがある。特に肉弾戦の見せ方は、チャン・ドンゴンをかっこよく見せるぞ!という気合が感じられて楽しい。が、前半の流れがどうもかったるかった。本作、ストーリーはごくごくシンプルなのだが、色々と設定を盛りすぎてごちゃごちゃしている印象。そもそも、アメリカ在住の中国マフィアの一員にしておく必要がない気がする・・・。
 ガンが動くのは、悔恨や贖罪の為ではあるが、死んだ少女やその母親の無念を晴らすというよりも、自分自身の気が済むようにするため、という側面が強いように見える。彼が「疲れたんだ」と言うシーンがあるが、案外本音なんだろうなと思わせるものがあった。マフィアからは女の為に裏切るのかとなじられるが、そういうことではないんだろうな。
 そしてモギョン個人に対してどうこうというよりも、彼女が「母」であることがより大きな要因なのだろう。ゴンは母親に捨てられたという思いをずっと抱いている。自分の母親はどういう女だったのか、母親は子供を失うと悲しむものなのか、ということをずっと確認したがっているように見えるのだ。それに他人を巻き込むなよと突っ込みたくはなるが。