大学生のヘウォン(チョン・ウンチェ)は教授で妻子のあるソンギュン(イ・ソンギュン)と恋人同志だった。関係を終わらせるつもりだったヘウォンだが、母親がカナダに移住することになり、寂しくてソンギュンに連絡をとってしまう。監督、脚本はホン・サンス。オープニングとエンドロールの背景の色の美しさには、ギョーム・ブラック監督『女っ気なし』を思い出した。別に意識し合っているわけじゃないだろうけど、乾いた肌触りがちょっと似ている気がする。ヘウォンの現実と眠っている間の夢が入り混じり、全部がヘウォンの夢で、彼女はまだ目覚めていないのではと思わせるラストシーンが美しい。
 ホン・サンスは恋愛のしょうもなさとか、恋する人のかっこ悪さを好んで描く。辛辣というほどではないのだが、そこずいぶんストレートにくるな!オブラートにくるんで!って気分になるところも。恋の方針が定まらずふらふらしているヘウォンにもハラハラするのだが、ソンギョンはそんなものの比ではないしょうもなさ。彼がヘウォンと男子学生の交際を知って逆ギレするところでは爆笑しそうになった。「あんな子供となんて」って、その子供と同年代の女性と交際しているお前は何なんだ!って話である。自分のお気に入りの音楽をいちいち雰囲気づくりの為にかける(何かカセットウォークマンぽい機械だったんだけど、今時あんなの使う人いるのか?そもそもなぜイヤホンしないの?)のもナルシストっぽくて笑ってしまう。
 ヘウォンはキュートではあるのだが、なんとなく同級生に嫌われそうな雰囲気がして、そこが生々しかった。他の人とはちょっと違うものを見ているんじゃないかという感じがするのだ。彼女が嫌な奴、というわけではないのだが、その「ちょっと違う」ところがうっとおしがられるんじゃないかなと。正直かつ脇が甘い(笑)ところも、周囲との(一方的な)軋轢を生みそう。飲み会でも浮いてたもんなぁ。