潜入捜査官のフィル・ブローカー(ジェイソン・ステイサム)は麻薬組織のボスを逮捕した大仕事を最後に、引退して娘と田舎で暮らすことにした。ある日、娘がいやがらせをしてきた同級生をとっちめ、同級生の母親キャシー(ケイト・ボスワース)の恨みをかってしまう。キャシーは麻薬売人である兄ゲイター(ジェームズ・フランコ)にブローカー親子に仕返しをしてほしいと頼み込む。ゲイターはフィルが元真潜入捜査官だと気づき、彼を陥れようと画策する。監督はゲイリー・フレダー。
 シルベスター・スタローンが製作・脚本を手掛けていると宣伝されているが、主演をスタローンにしなかったのは正解だろう。ステイサムはもうスターという位置づけでいいと思うのだが、本作のような小気味のいいB級映画といった雰囲気の作品が妙に似合う。スタローンは結構自分のキャラクターの客観視が出来ている人なのかな(笑)。
 事件の発端が潜入捜査よりむしろ、娘の同級生のモンスターペアレンツだという話のこじんまり感がいい。基本、スケールの小さい話なのだ。フィルを襲ってくるチンピラたちより、田舎町の社会の狭さと排他的な雰囲気、そして薬物依存症で理屈が通じないキャシーの方が始末が悪いというところがなんともはや。田舎は田舎でも、北部や西部とはちょっと雰囲気が違って独自の粘着っぽさみたいなものがある。「南部の田舎こわい」というのはアメリカ全土で共通認識、ないしはネタ(日本における「大阪人は日常会話がボケとツッコミ」みたいな)となっているのだろうか。アメリカ文学では南部小説、といういい方がよく使われるが、本作は南部映画とでも言えばいいのか。この風土あっての話、という気がする。
 出演者が妙に豪華で驚いた。ヤク中母親役のボスワースの汚れ美人感がよかった。やっかいな人だが根っからの悪人というわけではないので、ラリっていない時は比較的まともな判断をするというところも、さじ加減がいい。麻薬売人のゲイターも、いわゆる巨悪というわけではなく、商売人の小悪党といった感じで、その親近感あふれる(笑)スケール感がよかった。ゲイターは家族に振り回されるわ部下は使えないわで、見ていて気の毒になってくるレベル。