レイモンド・チャンドラー著、村上春樹訳
探偵フィリップ・マーロウは、スターンウッド将軍から依頼を受けた。二女のカーメンが賭場での借金をネタに、ガイガーなる男から金をゆすられていたのだ。マーロウはガイガーが経営する書店を調べ始めるが、いかがわしい商売をしているらしい。彼を尾行したマーロウは、ガイガーが自宅で射殺されている現場に居合わせてしまう。チャンドラーの小説は、ある会話や描写、部分部分は記憶に残るのだが、一長編通してのプロットが印象に残らず、読んでいる途中でどんな話だったっけ?と筋を見失うことが多々ある。本作は初期作品だからか、その傾向が特に強かった。訳者解説によれば、チャンドラーは自作の短編のプロットをそのまま長編に組み入れてしまうからだとか。本作でも、短いエピソードだが妙に印象深い部分があった。特に小柄な詐欺師が見せる矜持と、それに対するマーロウの敬意にはぐっときた。マーロウが警官でなくて私立探偵なのは、こういう部分の為なんだ思う。