ジェラルド・ダレル著、池澤夏樹訳
個性派揃いのダレル一家は、日の光を求めてイギリスからギリシアのコルフ島へ引っ越した。動植物をこよなく愛する末っ子のジェリー少年は、イギリスでは見慣れない虫や動物たちに夢中になる。著者はイギリスのナチュラリストで作家。本著はベストセラーとして長年愛されているそうだ。すごくいい夏休み小説!厳密にはバカンスでコルフ島に来ているわけではないのだが、ちょっと非日常な時間と場所を家族と過ごすところが、夏休みっぽい。ジェリーの虫や動物、鳥に対する時に行きすぎた愛と情熱、そして観察力で、世界が生き生きと描かれる。彼と彼が集めてきた生き物たち、そして何より素っ頓狂な家族が巻き起こす事件も愉快なのだが、何よりジェリーが世界に注ぐまなざしの真摯さ、風景・情景のディティール描写の豊かさが大きな魅力だ。師匠的存在かつ親友であるセオドアの、ジェリーに対する接し方がよかった。ジェリーは子供だが、同じ「研究者」として、一貫して対等に接するのだ。なお、ジェリーの兄ラリーは、後の小説家ロレンス・ダレルなのだが、誇張されているだろうとは言えこんな困った人だったのかー!屁理屈我儘ばかりで周囲を振り回すわ、目立ちたがりだわでとんだトラブルメーカー。しかし他の兄弟も似たり寄ったりか・・・。