美容師になりたての楓(我妻三輪子)は仕事にもボーイフレンドとの関係にも行き詰っていた。ある日、幼馴染の拓也(中村無阿有)が6年ぶりに地元に帰ってくる。初恋の人である拓也との再会にはしゃぐ楓。拓也と親友同士だった楓の兄・隆太(小林竜樹)とその恋人・有希(今村美乃)と4人で楽しく過ごしていたが。監督は田尻裕司。
 特にひねったストーリーではないが、奇をてらわず、若々しい感情をきちんと描こうとしている作品で好感が持てた。特に目標もやる気もない楓が、同僚に一歩先を行かれて焦ったり自信喪失したりする姿は、身近に感じられるものだったと思う。彼女が美容師(の卵)なのに髪型も服装もあまりぱっとしていない、更に服のレパートリーが少ない(予算的なことかもしれないけど)ところも、あー地方の美容室ってこういう子いそうだなー、でもこういう子がそれなりにモテたりするんだよなー、という感じがして良かった。
 世の中には「しょうがない」と処理するしかない思いがあるということを、しみじみかみしめる作品だった。当たり前といえば当たり前なのだが、当事者になるとなんか納得できなかったりするんだよなと。自分の思いが成就しないのも、他人が思い通りにならないのも、人の心が変わっていくのも、しょうがないことだ。そのしょうがなさと、登場人物たちは向き合い、なんとか飲み込もうとする。
 自分が思いを寄せる人から、自分に対して同じような思いを返されなくても、それでもよし、「なんとなく幸せ」とする着地点が、ある種の少女漫画ぽいなと思った。性愛の成立以外の関係性を維持しようとする、それも愛だとするところが。
 色々とつたないところもある(「告白」に対する後日の隆太の返しとか)作品だが、登場人物の人となり、心情など、きちんと見せようとしているなという意欲は感じる。いわゆる悪者になりそうなポジションの人を、安易にそういう扱いにはしないところもよかった。