海外のレースを総なめにして、多額の賞金を稼ぎ帰国したオートレーサーのジョウ(宍戸錠)とマネージャーのマイク。しかし空港で賞金をすられてしまい、当座の資金稼ぎの為、国内のギャンブルを仕切る松岡にジョウを売り込む。しかし松岡は全日本グランプリで八百長を企んでいた。グランプリにはジョウの弟・哲也(渡哲也)が優勝候補として出場しており、哲也のバイクに細工をしてジョウに勝たせようというのだ。八百長は計画を見破ったジョウによりご破算となるが、哲也はジョウにいい顔をしない。刑事であった兄弟の父親は、ジョウが不在の間に行方不明になっていたのだ。原作は川野京輔の同名小説。監督は小林勇、1965年の作品。役名が俳優の名前そのままということで、スター映画的な作品だったのだろう。
 若い頃の宍戸錠ってチャーミングだったんだなぁ(いや今もチャーミングでいらっしゃると思いますが)とつくづく思った。存在はすごくクドいのだが、セリフ回しや動きに軽さがあって、いい2.5枚目キャラになっている。題名に「騎士道」とつくだけあって、こずるいこともやるのに妙に律義だったり、女性に対しては純情だったり(ナンパはするのにやり方が律義というか・・・)、憎めない。アクションスター的な印象が強い俳優だが、コメディ寄りの作風の方が(この頃は)生き生きとしているように思う。
 また、ジョウの弟役の渡哲也は本作が長編デビューだったそうで、演技が固い固い!全然洗練されていなくて、作中では二枚目設定なのだろうがそう見えない。この人は年齢重ねてからの方が圧倒的にかっこよくなっているなぁ。
 宍戸の軽妙さもあって、にぎやかで楽しい作品。女性陣も、香港帰りのショーガールにしろ、クラブのママにしろ、自分の人生を生きている感じがしてちょっといいなと思った。特に、ママの冷徹さは作品のアクセントになっている。