ブレット・イーストン・エリス著、菅野楽章訳
脚本家の「わたし」は新作映画の企画の為、ロサンゼルスに帰ってきた。若手女優のレインにひかれ、自分が脚本を手掛ける映画に出演させることを条件に彼女と懇意になっていく。一方、「わたし」の友人が殺された事件の噂が仲間内でも廻っていた。『アメリカン・サイコ』の著者による作品だが、これ『レス・ザン・ゼロ』の続編だったのね・・・。著者の他作品を読んでいないと流れ、というか言わんとすることがわからない部分があって、読み始めてからしまったなーと思った(単品で読めないということではないが)。「わたし」にしろ友人たちにしろ、自分が何者かに見張られている、脅されているという疑いと恐れに翻弄されるが、その見張っている主体は判然としない。友人の死についても、はっきりとした情報の出所はわからず、噂と疑いだけが広がっていく。お互いにメールやSNSで気持ちや状況を確認するが、更に疑心暗鬼に陥っていく。全員がぼんやりとした恐怖に追い回され自滅していくようだった。その相手の見えなさが、現代的ではある。