凄腕の整備しでドライバーとしても天才的なトビー(アーロン・ポール)は、ライバルのディーノ(ドミニク・クーパー)とのレースに挑むが、レース中に弟分が巻き込まれて死亡。ディーノは証拠隠滅をはかり、トビーは罪を着せられ刑務所に入れられてしまった。ようやく出所したトビーは、ディーノに復讐するためにストリートレースに出場しようとカリフォルニアを目指す。監督はスコット・ワウ。
 ゲーム原作で大味なのかなと思っていたら、主人公の動機づけや伏線の敷き方など、予想外にきちんとしている。トビーがどういう行動原理・価値観の人なのか、という部分が首尾一貫している。ストーリー展開的にも、撒いた種はきちんと回収、という律義さを感じた。ただ、きちんとやろうとしすぎていてちょっと窮屈というか、機能的すぎるなという気はした。原案に参加しているジョージ・ゲイティンズは『フライト』や『リアル・スティール』など手堅い脚本を手掛けている人なので、その傾向が出ているのだろうか。なお脚本のジョン・ゲイティンズはジョージの弟。兄の指導がやはり入っているのだろうか(笑)。
 トビーは車とレースをこよなく愛しているが、それよりも大事なものがあるということをわかっており、そこは無視しようとしてもできない。あれだけむちゃくちゃやってもそこは見逃せないのか、という部分が面白くもあり、ほっとするところでもある。レース内容がやりたい放題なわりには教育的だなーという感じも。
 ところでアメリカでは、本作のようなレース映画は一定の需要があるのだろうか。本作は高級車(スポーツカー)でかっとばすのだが、そういう志向って一時期ほどなくなっている気がするんだけど・・・。