村の共同所有だった炭鉱の利益が企業や村長に独占されたことに怒る山西省の男。家族には出稼ぎと称して裏の仕事に手を染める重慶の男。妻子ある男性と先の見込みのない関係を続ける湖北省の女。ナイトクラブのダンサーに恋する広東省の男。実際にあった4つの事件を元に、4人の「罪」を描く。監督はジャ・ジャンクー。
 4つの事件の背後には、お金、経済的な格差が潜んでいる。あいつは持っているのにどうして自分はもっていないのか、金の為なら何でもやっていいのか、金があれば許されるのか、といった感情が渦巻く。単純に経済的に豊かになりたい、という人もいるが、その他の人は金そのものがほしいというよりも、金がもたらすものに絶望したり、あるいは金の力に反抗する為であったりといったことで、罪を犯してしまう。
 はたから見ていればそんなことで、という面もあるかもしれないが、金に関わる問題は往々にして彼らの生き方、魂に関わる問題にもなってくる。特に、湖北省の女が遭うセクハラとその後の出来事には、彼女の置かれた境遇を考えるあんまりだろう、そりゃあ何かのスイッチも入るわ!とやるせなくなった。彼女は「お金があれば」という問題とはまたちょっと違う所にいるのだ。
 4人の人たちの「スイッチ」が入る瞬間以降は、どこか戯画的な見せ方になっている。随所で京劇の舞台が挿入されるが、その京劇のようなある種の型に沿った動きのようでもある。「スイッチ」が入ってから彼らが罪を犯す一連の流れは、日常から乖離した、白昼夢のような時間帯にも見えるのだ。
 4つのエピソードが絡み合うというよりも、順番に消化していく、どちらかというとオムニバス映画のような構成なので、1本の長編としては少々緩慢でのっぺりとした印象を受けた。でもジャ・ジャンクー監督の長編って大体構成こんな感じだったな(笑)。
 それにしても中国国内の経済状況の変化の速さ、国内経済格差の凄まじさを実感する。あれだけ国土広くて人口多いと、都市から地方へ移動すると前時代に戻ったみたいな印象にもなるだろう。そりゃあ拝金主義・金銭万能主義にもなってくるよなーと何かげんなりした。そういうこと言っている方が時代から取り残されているってことなのかもしれないけど。