キャロリン・G・ハート著、長野きよみ訳
第二次大戦中のアメリカ。男性たちが兵士として徴兵された為、どこも人手不足だった。女性達が工場や警察で働き始める中、13歳の少女グレッチェンは新聞記者として働くことになる。ある日、近所に住む同級生バーブの母親が殺され、父親が容疑者として指名手配された。バーブの母親には不倫の噂があったが、グレッチェンは信じられず、真相を突き止めようとする。老年になったグレッチェンがある手紙を受け取るという導入部分から、少女時代と老年時代、そして送られてきた手紙の内容を行き来するという構成。悲劇の気配がそろりそろりと忍び寄ってきて緊張感がある。実はミステリとしてはちょっと変な構成(というか、事件自体を謎にしようという工夫はあんまりないという感じ)なのだが、ミステリとしての真相解明以上に、グレッチェンが成長していく過程が読ませる。自分の「仕事」に対する手ごたえと責任感を持つようになり、祖母の老いに気付き、母親も1人の女性だということに気づく。苦さは深いが、グレッチェンが次の一歩に踏み出す様は清々しい。それにしても、この時代の女性(男性もかもしれないけど)はつくづく不便だよな・・・ダンスくらい自由にやらせてよ・・・