2013年にテレビ放送されたアニメーション『たまこまーけっと』の劇場版。TVシリーズの続きとなる物語だが、単品でも一応大丈夫だと思う。餅屋の娘、北白川たま子(洲崎綾)は高校3年に進学した。友人たちは進路のことを考え始めるが、たま子は新作餅のことで頭がいっぱい。一方、たま子の幼馴染で彼女にずっと片思いをしている大路もち蔵(田丸篤志)はたま子への告白を決意する。監督は山田尚子、脚本は吉田玲子。キャラクターデザインは堀口悠紀子という、『けいおん!』スタッフの再集結。
 ちょっと見てみるかな、くらいの気持ちだったのだが、これは思わぬ自分内ヒット!TVシリーズの続編というハードルはあるものの、今年上映されるアニメーション映画の中でもかなりいい線なのでは。山田監督といえば『けいおん!』なのだろうが、私は本作の方が好き。キャラクターが老若男女登場するというのもあるが、何より、『けいおん!』劇場版よりも本作の方が、より映画であろうとしているように思ったからだ。
 『けいおん!』劇場版は確かに楽しかったが、映画というよりもすごくよくできたキャラクター商品、まずはキャラクターありきの作品だった。本作はそれほどキャラクターの「キャラクターらしさ」みたいなものにウェイトがかかっていない(キャラクターを軽視しているというのではなく、「こういう人」という軸がブレなければ自由に動かせる)ので、作る側も自由度が高かったんじゃないかなと思う。少年少女たちが人生の次のステージに踏み出す瞬間をはっきり描けたというところが、一番大きな違いだろう。物語としてはやっぱりこの方が盛り上がるな(笑)。
 今回、カメラによって撮影されている、画面に映る対象との間にカメラが介在していることを見る側に意識させよう(作る側もかも)とする絵の作り方をしていたと思う。特に、映研所属のもち蔵の視点、特にたま子を見ている視点になったときは、ちょっと手持ちカメラっぽく、気持ち画面にざらっと感を増やしている感じで、あっ映画撮ってる!って気分になる。カメラが切りかえしてもち蔵を映すショットになると、ちゃんと固定カメラになっていたりするので、やっぱり意識しているんだろうなぁ。ここまで「カメラで撮っている」意図を出しているアニメーションは珍しいんじゃないだろうか。アニメーションはカメラを動かして撮影するというわけじゃないから、どのようにカメラが移動するかという意識は見ていても持ちにくい。少なくとも実写映画におけるカメラの動きに対する意識とはちょっと違うと思うし、そこが面白いところでもある。そこをあえて、「カメラで撮っている」感に拘るところがまた面白いなと思った。
 一方本作、物語はびっくりするほど直球だった。ある人とある人の関係が変わる、というより変わり始めるまでの心の動きを、見ている側が気恥ずかしくなるくらい初々しくストレートに描いている。そのストレートさ、てらいのなさが却って良かった。ラストのすぱっとした終わり方も、最近見た映画の中ではホームラン級でツボだった(私はスパっと終わる映画が好きなので)。