原田マハ著
東京の料亭で板前見習いをしていた紫紋は、死に場所を求めて、北の港町「尽果」バス停に降りた。そこで出会ったのは、小さな食堂「まぐだら屋」の女主人マリア。マリアが作った食事に救われた紫紋は、店を手伝うようになる。マリアは紫紋の過去について何も聞かなかったが、マリアにも消せない過去があるようだった。題名や登場人物の名前は聖書から取られたものだが、聖母も救世主も登場しない。マリアは一見聖母のような、包容力のある女性だ。しかしその包容力は、彼女もある罪をおかし、その償いの為に生きてきた故のものだ。「まぐだら屋」は。過去を断ち切れない人々が、その過去と共に生きられるようになるまでの咀嚼の場のような、保留の場のようだ。固有名詞を聖書から取っているので寓話ぽさが漂い、いわゆる「いい話」もすんなりと読める。何より登場する料理に全部手ごたえがあっておいしそう!