逢坂剛著
麻薬密売を捜査中だった警官とその同僚が射殺され、麻薬常用者の元警官に婦警が刺殺された。麻薬にからんだ陰謀が警察内で動いていると踏んだ倉木は、一人捜査を始める。一方、家庭に降りかかったある悲劇により復讐に燃える美希も、独自に動き始め、警察を退職して探偵になった大杉に助力を仰ぐ。捜査線上に上がってきたのは、“ペガサス”という謎の名前だった。“百舌”2作からはひと段落したが、登場人物は同じ、シリーズ3作目。ある仕掛けを毎回使っているのが、このシリーズの特徴なのだろうか。ただ、本作は1,2作ほどトリッキーではなく、むしろ冒険アクション小説寄りの派手な雰囲気。登場人物たちも今まで以上に体を張っている。彼らが警官という枠からどんどんはみ出ていく(大杉はすでに民間人だが)から、冒険小説っぽい雰囲気になっているのかもしれない。大杉というキャラクターの良さが本作で一番活きているように思った。女性キャラクターが型にはまっていていまひとつ魅力、説得力がないのは書かれた時代のせいなのか著者の特徴なのか。