杉江松恋編
早川書房が世界に誇るミステリ専門誌「ミステリマガジン」の創刊700号を記念したアンソロジーの海外篇。早川といえば翻訳ミステリでしょう!と思っているのでこれは嬉しい。いや国内篇もうれしかったですけど!でもこちらの方が馴染みのある作家が多くてとっつきやすかった。フレドリック・ブラウン、パトリシア・ハイスミス、クリスチアナ・ブランド、イアン・ランキン、レジナルド・ヒル、ピーター・ラヴゼイら豪華でありつつ渋い面子、かつなかなか日本語で読める機会が少ない短編なのでお得感も高い。国内篇と同じく、ミステリというくくりの中ではあっても作品の方向性にバリエーションを持たせているので、楽しみの幅が広い。ミステリ初心者でも大丈夫なのでは。個人的に気に入っているのは逆アリバイ崩しかつ人間描写巧みなシャーロット・アームソトロング『アリバイさがし』、これぞ職人技本格なクリスチアナ・ブランド『拝啓、編集長様』、長編とはまた違うトリッキーな魅力があるイアン・ランキン『ソフト・スポット』、悪夢に終わりはないジョイス・キャロル・オーツ『フルーツセラー』。