日下三蔵編
日本で最も歴史ある(世界でも2番目だそうだ)ミステリ専門誌、早川書房といえばこれ、な「ミステリマガジン」の創刊700号を記念したアンソロジーの国内篇。1956年の創刊当時から現在に至るまでの20篇、加えてその時代時代のミステリ小説の立ち位置に関する証言とも言える、山田風太郎・松本清張らによるコラム「証言席」という大変豪華なアンソロジー。作家・作品の選択はバランスがとれていて読みやすく、ガチガチの本格から幻想怪奇寄りまで幅広く楽しめる。ミステリマガジンの歴史をたどると同時に、日本ミステリ小説のアンソロジーとして優れていてお勧め。個人的に好みだったのは、王道本格だがどこかとぼけた味もある鮎川哲也『クイーンの色紙』、著者らしく翻訳ミステリの香りがし、オチが沈痛な片岡義男『ドノヴァン、早く帰ってきて』、日本のハードボイルドといえばこれ、原尞『少年の見た男』。また、最新作ともちょっとリンクしそうな月村了衛『機龍警察 輪廻』が読めたのは嬉しい。短編小説の中、田村隆一『死体にだって見覚えがあるぞ』を収録しているのはにくい!さすがです。