1970年代のテキサス。窃盗・強盗を繰り返してきたボブ(ケイシー・アフレック)とルース(ルーニー・マーラー)のカップル。ルースが妊娠したことを機に足を洗おうとするが、最後の仕事で警察に追い詰められ、ルースは警官を射殺してしまう。ボブは身代わりとなって刑務所に入った。数年後、ルースまだ見ぬと娘に会う為にボブは脱獄するルースはボブを待ち続けていたが、地元の保安官パトリック(ベン・フォスター)は彼女に思いを寄せていた。監督はデビッド・ロウリー。
 三角関係かと思っていたら、1組の男女プラス1人、しかもその1人はほぼ蚊帳の外という感じで、三角関係未満。ルースとパトリックは惹かれあってはいるし、ルースはパトリックに安らぎを感じるが、それ以上にルースとボブの繋がりが深い。ほどけてしまう方がお互い楽だし幸せ(少なくともルースは)になれるのかもしれないが、いやおうなく結びついており離れられないし、他者が介入できない。メロドラマといえばメロドラマなのだが、運命が歴然としてそこにあり、それにあらがえないという世界観は、より神話に近いものだったと思う。
 アメリカンニューシネマの影響が色濃いと評された作品だが、確かにそんな雰囲気がある。私が見たときはデジタル上映(しかやっていないのか?)だがフィルムで見た見たくなるような風合いがあった。映像は美しく、テキサスのおそらく乾いた、時に殺風景な風土を思わせる。ああ映画だ!という感じが(私にとっては)するし、古いものも新しいものも映画をたくさん見てきた人が撮った作品なんだという気がした。人がただ歩いているだけのシーンがしみじみいい。それだけでいい映画のような気がしてしまう(笑)。舞台となった土地の風土のせいかもしれないが、ちょっとコーマック・マッカーシーの小説を思い出した。ある流れに逆らえない・逆らわない人間のあり方もそう思わせるのか。

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すべての美しい馬 (ハヤカワepi文庫)
コーマック マッカーシー
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2001-05