氷河期となった地球。僅かに生き残った人間たちは、「スノーピアサー」と呼ばれる列車の中で生活していた。前方車両には一握りの上級階級が豪奢な生活をし、後方車両には貧しい人々が生活しており、厳格な階級社会が構成されていた。後部車両でカーティス(クリス・エバンス)は反乱をおこし、車両の施錠システムを開発したミンス(ソン・ガンホ)に各車両の扉を開かせ、前方を目指す。監督はポン・ジュノ。原作はフランスのバンドデシネ「Le Transperceneige」。
 撮る映画撮る映画、大体クオリティ高くちょっと(いや大分)変なポン・ジュノだが、本作は意外と普通。ハリウッドスターに気兼ねしたというよりも、マンガ的な素材の表現があまり上手くないんじゃないかと思う。舞台はノアの箱舟状態で走り続ける列車で、最後尾からカースト社会になっているという、かなり戯画的な設定。それを割と真面目に実写化しようとしているので、設定とビジュアルのリアルさの噛み合わせがうまくいっていないように思った。列車の疾走感みたいなものもあまり感じられない。むしろ密室劇としての側面が強いが、だったら窓の外なんて一切見せなくてもよかったんじゃないかとも思う。律義に「列車」であろうとすることが、あまり物語のパーツとして機能していない。思い切って、もっとマンガ的な方向に振ってしまってもよかったという気もする。伏線をかなり律義に回収しようとしているのも、意外だった。ポン・ジュノって、案外真面目というか、几帳面な作り方するのかな・・・。
 前作「母なる証明」は題名の通り母性の物語だったが、今作は父性の映画だったと思う。カーティスもミンスも、最終的には「父」的な存在であることを全うしようとし、子供たちの未来(それがどういうものであれ)を切り開く親であろうとする。カーティスと対峙する男とその協力者が、支配する父的な存在であること対称的だ。
 やたらと豪華なキャストだったが、ティルダ・スウィントンは美女もモンスターも両方出来る(どちらであってもおかしくない)ところが面白い俳優だと思う。また、ジェイミー・ベルがカーティスを慕う青年役で出演しているのだが、この人といいスウィントンといい、本当にバンドデシネに出てきそうな顔しているなー。スウィントンは役作りでそう見えるのだろうが、ベルは地顔がそういう感じ。『闇の王国』あたりにこんな顔のモブの人いなかったっけ?って気分になった。


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