レジナルド・ヒル著、松下祥子訳
周囲の反対を押し切って、療養生活から現場復帰したダルジール警視。しかし勘は戻らず部下達もよそよそしい。そんな折、古い知りあいの警視長パーディーから、7年前に失踪した部下のウルフについて調べてほしいと頼まれる。パーディーはウルフの妻と再婚するつもりだったが、彼女の元に夫らしき写真が届いたのだ。ダルジールは内密に捜査を始めるが、協力を仰いだ部下が襲われ、ある政治家の影がちらつきはじめる。久しぶりに読んだダルジール警視シリーズだが、警視もさすがにお年なのか、パワーダウン気味で、パスコーやウィールドがいつになく強気。ただ、パスコーはダルジールに立腹しつつも、彼のことを心配している。いつものことではあるのだが、ウィールドが2人の疑似父息子関係を考察するくだりなど、シリーズの蓄積を感じてにやにやしてしまった。全編が1日の出来事であるという構成の密度の高さに加え、最後のどんでん返しには唸った。やっぱりヒルは本格ミステリ作家としての腕がいいんだよなー。シリーズものとしても、単品としても楽しめる。


午前零時のフーガ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
ダルジールの死 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)