「魔の国」で魔法をかけたり解いたりする「のろい屋」を営んでいるヨヨ(諸星すみれ)とネネ(加隅亜衣)姉妹。ある日、森に見慣れない建物が出現し、その調査に向かったヨヨは、魔法が存在しない異世界に迷い込んでしまう。監督は平尾隆之。
キャラクターデザイン、総作画監督は柴田由香。少女の姿のヨヨよりも、もっと年長の女性のキャラクターデザインの方がこなれていて魅力があった。子供、幼児(特に幼児)のデザインは体のパーツのバランスが悪くてぎこちない。等身低めのキャラクターが苦手なのかな。ヨヨは幼児~小学生のプロポーションに変化するが、どっちもいまいちこなれていない気がした。ネネやオヨネの方がデザインとして様になっている。
 ヨヨにとっての異世界が観客側の日常世界(舞台は横浜)という、異世界から魔法少女がやってきた!という設定。だがヨヨ視点なので、この世界こそが不思議の世界というわけだ。ヨヨの振る舞いはこの設定上の「お約束」的なものではあるが、だからこその楽しさがある。ちゃんと変身シーンがあったり踊って歌ったりするあたり、正しく「魔女っこ」な感じがする。
 ヨヨは生き物の生き死にに無頓着なのだが(魔の国では生き返りの魔法が使えるので、死に対する危機感はあまりない)、そういう態度を見るとフィクションの中ながら、強い違和感を感じるものだなと妙に感心した。その死による喪失の実感のないヨヨが、喪失が原因となった事件を解決しようとする、その中で一度きりの生を理解していく。また、人間側にとっては、身近な人の死をどう理解していけばいいのか、折り合いをつけていけるのかという、意外とシリアスなテーマが根っこにある。死を棚上げしたことが、事件の発端になっているともいえるのだ。人間世界での「消失」の仕方やその後の様子など、実際の災害を意識したのかなという部分も(こちらが勝手に投影しているだけかもしれないが)。
 私が鑑賞した日は大人客が多かったし、いわゆる児童向けのプロモーションはしていないと思うが、家族連れでも楽しめるスタンダード感のある作品だと思う。色っぽいシーンはあまりないので安心して見られる。少年少女がしっかり頑張るところも、児童向けっぽくてよかった。



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