ヴィヴェカ・ステン著、三谷武司訳
スウェーデンのリゾート地サンドハムン島で、男性の水死体が発見された。死因は溺死、身元もわかり、トーマス・アンドレアソン警部をはじめとする警察は事故死との見方に傾いていた。しかし、男性の従姉妹が殺害され、2つの事件に関連があるのではとトーマスは疑いはじめる。サンドハムン島はスウェーデン内の別荘地のようなところで、風光明美な島。ボートレースなどマリンスポーツも盛んなようだ。その島を舞台としたミステリシリーズの1作目。島の風土も見所だが、陰のあるイケメン、トーマスと、彼の幼馴染で島に住むノラという2人の主人公の造形もいい。特にノラは、銀行法務部に勤めながら子供を育てる母親であり、医者の妻でありと多忙。家柄のいい夫の友人たちの奥様仲間にはいまひとつ馴染めず、キャリアアップに伴う転勤の話があると夫に反対されと、国は違えど身近に感じられる。夫の両親との相性の悪さも、あるある!という感じ。このあたりは女性の視線だなと思った。スウェーデンて女性の社会進出は進んでいる国のはずだが、それでも夫の反応はこんなもんなのかーと(もちろんそうじゃない夫も大勢いるだろうけど)ちょっとがっかり。


静かな水のなかで 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕
赤く微笑む春 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)