特集上映「フランス映画の知られざる巨匠 モーリス・ピアラ」にて。モーリス・ピアラ監督作品(1983年)。15歳の少女シュザンヌ(サンドリーヌ・ボネール)は恋人のリュック以外の男性とも、奔放に付き合っていた。そのことを家族から疎ましく思われていたが、ふとしたことで父親との間に暖かい気持ちが通い合う。しかし父親は家を出、母や兄とシュザンヌの関係は悪化していく。
 「愛の記念」とは、恋愛ではなく家族の愛であったか、と腑に落ちる。一つの家族の崩壊していく様が、というよりも、既に崩壊していて、修繕の仕様がない様があからさまになっていく。その無残さが痛ましい。父親と母親には愛し合っていた時期もあっただろうに、子供たちに愛情が注がれていたこともあっただろうにと、その名残は見える(それこそ「愛の記念」のように)為により残酷に思えた。ピアラ監督ってちょっと露悪的なくらい、こういうところに容赦ないな・・・。ここまで愛が成立していないのに題名に「愛」が含まれる映画は久しぶりに見た。
 シュザンヌは恋愛に奔放なようでいて、他人を愛さない女性として描かれている。『ポリス』のヒロインであるノリアにちょっと似ているかもしれない。ただ、シュザンヌはノリアのように一人歩いていくというわけではなく、誰かが愛していくれる=自分を評価してくれることを求めている。だから次々と、自分を求める男性の傍に言ってしまう。彼女が一番愛されたい=評価されたいのは両親なのだろうが、父親は親としての責任を放棄し、母親はシュザンヌの男性遍歴故に嫌悪する。兄もまた、彼女を愛するが故に彼女の男性関係を嫌悪する。愛情がこじれまくっていて、見ていてげんなりするレベル。これは家から飛び出しちゃう父親の気持ちもわかる・・・とは思うが、ひょっこり帰ってきて家族をひっかきまわすあたりはろくでもない。そもそもあなたにも責任が!と突っ込みたくなる。見るからにひと癖ありそうなのだが、演じているのはピアラ監督本人だと知ってびっくり。


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