バンドマンのブレット(フラナリー・ランスフォード)は恋人ジンジャーに去られ失意のどん底にいた。更にバンドメンバーが脱退し、ライブもままならない。ジンジャーがブレットにとってのカリスマミュージシャン・デイモン(ダンテ・ホワイト=アリアーノ)と付き合い始めたと聞き、さっそくデイモンのレコード店に乗り込むが。監督はアリソン・アンダース&カート・ヴォイス。
 ジャームッシュや初期のヴェンダースを思わせるモノクロの映像と、登場人物たちの「だべってる」感がどこか懐かしい。多分、監督たち自身が、自分達が好きだった映画の雰囲気を再現してみたいという気持ちで作ったんじゃないだろうか。といっても、ジャームッシュなどに比べるとぐっとさらっとした手触りで、このあたりは現代的なのかなと思う。
 主人公であるブレットのへなちょこ感がかわいくもあり、イラっともさせられる。ジンジャーに去られてうじうじしている彼に、母親は「現実の女性と恋をしろ」と言う。ジンジャーは画面内に一貫して登場しないので、そもそもブレットの脳内彼女では?とも思ってしまう。少なくとも、ブレットがジンジャーに多分に夢を見ていたんじゃないの?という雰囲気はする。ジンジャーとしても、ミューズだ何だとか持ち上げられても困ったんじゃないかなとも。もっとも、ブレットは母親とは仲がいいし、母親のボーイフレンドともそこそこ良好な関係を保っているし、何かこの子いい子だなーという感じがする。この「いい子」感が現代ならではなのかなという気もする。ちょっと前の映画だと、もうちょっとだらしなかったりやさぐれていたりしそう。
 母親のボーイフレンドが昔ながらのロッカーって感じなんだが、ツアー先で昔なじみの女性に一夜の宿を頼んだところ断られ、本当に売れてたら女のところになんて来ない、売れてないから女にちやほやされたいんだとばっさり切られる。ミュージシャンたちが主人公のわりに、あまりそのステイタスに対する夢がないところに笑ってしまった。女性監督だからかもしれないが。女性ならではと言えば、ブレットの女友達で彼に密かに好意を寄せているクレオ(エリーズ・ホランダー)がデートの際、ヴィンテージっぽいワンピースを着ていこうとするのだが、友人に「それじゃだめよ」とボディコンシャスなワンピースを着せられる件が、サブカル女子あるあるすぎて笑ってしまった。女子の「かわいい」と男ウケは違うのよね・・・。このクレオ、職場がアートシアター(カサヴェデスとか無声映画とか上映してる)という正にサブカル女子の夢のようなキャラクター(笑)。こんな田舎町でアートシアターが成立するのか?!というところも含め。


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