エラリー・クイーン著、井上勇訳
ポッツ製靴会社の社長として巨万の富を得たコーネリアス・ポッツは、偏屈な老女として知られていた。ポッツ社の弁護士チャールズと知り合ったエラリーは、ポッツ家の長男サーロウと、父親違いの弟ロバートの決闘騒ぎに巻き込まれる。拳銃から実弾を抜いておこうと自ら細工したエラリーだが、決闘の場でサーロウの拳銃が発射され、ロバートが死亡してしまう。マザーグースの「靴のおうちに住んでるおばあさん~」をモチーフにした作品。クイーンの作品で、童謡などをモチーフにしたいわゆる「見立て」ネタって珍しいんじゃないだろうか。変人ばかりの一家に闖入したエラリーが事件解明に乗り出す。トリックの一部が他の作品(クイーン作品だったかどうかもわからない・・・)で使われていたような気がするし、この作品の短編バージョンをどこかで読んだ気もするのだが、どこだっけなー。この読んだ気がするトリックよりも、もうひとつの、真犯人を特定する仕掛けの理詰めさにクイーンらしさがあると思う。


生者と死者と (創元推理文庫 (104‐21))
マザー・グース1 (講談社文庫)