フリーのTVディレクター、竹内(板倉俊之)と阿部(堤下敦)は、起死回生を図って富士山麓の樹海に自殺しに来た人達を追うドキュメンタリーの取材を始める。企画は当たり、2人は徐々に樹海にのめり込んでいくが。監督は山口秀矢。
 TV番組制作のディティール(予算とか生活のリズムとか・・・)が妙にリアリティがあるなと思ったら、実際に樹海取材したディレクターらの体験談を基にしているそうだ。冒頭から阿部のナレーションで、ドキュメンタリー番組のていで始まる。ショットも低予算のドキュメンタリーでありそうな、手持ちカメラからのものが最初は続く。当然、阿部か竹内の視点ということになる。しかし途中で急に、神の視点的なショットが挿入されるし、途中から普通のドラマ仕立てになっていく。疑似ドキュメンタリーなのかドラマなのか、なんだか中途半端でどちらかに統一してほしかった。
 また、樹海取材の一方で、竹内の家庭の事情も徐々にクローズアップされていく。彼がなぜ、自殺する人の取材にのめり込んでいったのか、知りたいと思ったのかという部分の説明にはなっているのだが、比重が重くなりすぎた気がした。こちらはこちらで面白いので、割愛するのも勿体ないのだが、映画の軸がちょっとブレたかなぁという気もした。
 主演はお笑いコンビ・インパルスの2人だが、案外役者としても悪くない。セリフ回しがそんなに上手いわけではないが、佇まいは自然だった。役者の技量ではなく、脚本の部分であまり上手くない、陳腐な言い回しがあったり、阿部のモノローグが過剰だったりするところが残念。そんなにいちいち言わなくても見ている側にはわかると思うんだけどな~。



富士 樹海

樹海の歩き方