アラン・ブラッドリー著、古賀弥生訳
ジプシーの女占い師に占ってもらったフレーヴィアは、アクシデントで彼女のテントを燃やしてしまう。お詫びに自分の屋敷の敷地内の林に彼女の馬車を招く。しかしその夜、屋敷に侵入していた村の男を追いかけると、占い師が大怪我をしているのを発見する。11歳の科学マニア少女・フレーヴィアを主人公としたシリーズ。レトロな時代背景(1940~50くらい?)も味わい深い。血なまぐさい事件が大好きで探偵気取りのフレーヴィアは、聡明な少女ではあるが、年齢相応に物を知らずに視野が狭いところもあり、勘違いも多い。それって本当はこういうことじゃなかったの?と読者に垣間見えるところが微笑ましい。が、彼女の視野の狭さや勘違いは、家族に対してもはたらいている。フレーヴィアは自分が家族の中で一人ぼっちだ、姉たちは自分を憎んでいると思っているが、そうでもないんじゃないだろうか。父親は確かに愛情表現が苦手みたいだから、これは誤解されてもしょうがない気がするけど・・・。姉たちはしょっちゅうフレーヴィアをバカにするが、それはお互い様(フレーヴィアの姉たちに対する悪事は結構なものだ(笑))だし、姉妹の仲ってそんなもんじゃないかなとも思う。一家のぎこちなさの根っこには母親の死、そしてフレーヴィアが知らない当時の事情があるみたいで、シリーズ内で言及されていくのかなと思う。